地震火山こどもサマースクール・地球の営みと向き合う子どもたちの未来のために!
  小麦粉とココアを用いた断層実験
岡本 義雄(大阪教育大学附属高等学校天王寺校舎)
【対象】
小学校高学年から高校生
【目的】
身近な材料で行う簡単な断層実験を通して,地震のメカニズム,プレートテクトニクス,さらにそれに伴う山が作られる過程(造山運動やネオテクトニクス)と断層の関係を理解し,自然に対する興味をさらに喚起する.
【関連する学習内容】
地震が生じるメカニズム,造山運動,プレートテクトニクスなど.
 (例)ビデオ「地震はなぜ起こる」(日本地震学会制作,17分)を見せて,解説を加え地震のメカニズム,地震と断層の関係を一通り学習する.
【実験準備】
  • 小麦粉(薄力粉)1人分100gあれば十分
  • ココア(森永,バンホーテンの純ココアがよい,砂糖入りは粒が粗く不可)少量
  • スライドケース(35mmフィルム24枚用),底の一部をカット(写真を参照)
  • 押し板(スライドケース内で自由に動けるよう,アクリル板,プリント基板などを長方形にカットしたもの)
  • キャッシュカード,セロテープ
  • スプーン,粉の容器,分度器,粉回収用バケツ,雑巾など掃除用具.
【実験手順】その1.地層作製
  1. 下の図のように透明スライドケースの片側に押し板をテープで止め,ケースのなかに小麦粉をまんべんなく入れる.下図左.
  2. その上からケースの底の部分で軽く小麦粉を押し固める.(子供は強く押しすぎる傾向にある.あまり強く押さないように注意)下図右.
  3. ケースの内側についた粉をキャッシュカードの端できれいに掃除する.これが重要.下図左.
  4. 次にココアをケースの両側,端の方に落としいれる.層にすると高価な粉がたくさん必要で,もったいない.下図右.
  5. またケースの底の部分で軽く上から固める.このとき,小麦粉とココアが混じらないようケースの底をよく掃除する.下図左.
  6. 小麦粉のときと同様にキャッシュカードで掃除する.
  7. あとこの作業を数回くりかえし,小麦粉3層,ココア2層の地層をつくる.
【実験手順】その2.断層の形成
  • 押し板を止めていたテープを外して,押し板をもち,ゆっくりと水平にずらしていく.その際,観察事項に注意して,速く動かさず断層の発生の様子をゆっくり観察する.
【留意点】
  • きれいに地層を作るのが重要点だと強調.
  • 地層の厚み,詰める深さなどは指示をせずむしろ生徒に色々な試行をさせたほうが面白い.また必要に応じて,CCDカメラなどで地層作成方法の指示を出す.
  • 余裕があれば断層の水平面からの角度,断層間の距離等の測定
  • 食品を用いるので,実験後の粉の廃棄は粗末にならないよう留意する.
【観察事項・実験結果の考察とまとめ】
1.断層のおこりかたの特徴(観察事項)
  • 断層の起こる順番,規則性など.常に逆断層,遠い方にシフトする.
  • 山脈の形成との関連⇒断層のずれが山を隆起させている.
  • 自然の断層写真を提示,比較させる.
2.モデル断層と実際の自然とのスケール比を簡単に説明
  • モデルで1mmを実際では1kmなど.プレートの運動速度を10cm/年とすると,モデル地層で1mm指を動かせることは何年に相当するか.など
3.自然のモデル実験の違いの考察
  • たとえば,実際の自然では雨や風による浸食が起こるがモデル実験では生じない.また小麦粉には付着性があるため,正断層ができないことなどを気づかせる.
4.地震の予知と関連して
  • 1つの断層がくりかえしずれること⇒地震もくりかえし起こる.次の断層の生じる場所を予想するのは大変難しいことなどを強調.
【参考文献】
  • 岡本義雄:小麦粉を用いた断層モデル実験,大阪と科学教育,14, 13-16, 2000
  • 岡本義雄:ココアと小麦粉で断層を作ろう,日本地震学会広報紙なゐふる,13,7,1999
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